幼少期から、エルヴィスの物真似で観客を沸かせるスター性を発揮
あどけないブルーノ・マーズの幼少時代の貴重な映像。当時から圧倒的なエンターテイナーぶりを発揮。
ハワイ生まれのブルーノ・マーズは、パーカッショニストの父親とフラダンサーの母親の間に誕生。幼い頃から両親とともにステージに立ち、子役スターとして活躍。エルヴィス・プレスリーやマイケル・ジャクソンの物真似で観客を沸かせていた、言わば生まれながらのエンターテイナー。もちろん成功した今でも、老若男女が楽しめる究極のエンターテインメントを創造する、という彼の思いは変わらない。
バックバンドには兄や旧友たちが集結
兄や旧友たちを中心に構成されたバックバンド、ザ・フーリガンズとともに、歌って踊って、一瞬たりとも退屈させることがないステージ。ゴージャスでラグジュアリーな別世界で魅了する。歌はもちろんピアノやギターも披露。ずっと出ずっぱりで観客を惹きつける。彼のヒット曲を全然知らなくても(という人を探すほうが難しいかもしれないが)、誰もが夢中になり満面笑みにさせてくれる。
前回の来日公演では、坂本九の「上を向いて歩こう」を日本語で歌ったり、嵐に書き下ろしたナンバー「Whenever You Call」を披露したことも。MCでは「愛してます」、「ありがとうございます」と日本語を混じえ、「カワイイ」、「ハズカシイ」と言いいながら照れてみせるなど、愛嬌たっぷり。ツアーの後半には、どんどん語彙も増え、日本との接点や繋がりを積極的に作ろうという姿勢が印象的だった。また日系ブラジル人のギタリスト、マテウス・アサトがたっぷりフューチャーされたのも、日本ならではの粋な計らいだったよう。
そのファッションからも、ショーマンシップは明白だ。大きな開襟シャツにカラフルなスーツを合わせたり、ハワイアンなテイストを取り入れたり。ちょっぴり派手めなギャングスターを意識した、70年代スタイルがお気に入り。楽曲中にもヴェルサーチェ、サンローランなどブランド名が鏤められ、ファッショニスタなところを伺わせる。
サングラスと開襟シャツがユニフォーム
ソウル、ファンク、ロック、ディスコ、レゲエなど、さまざまなジャンルの要素をベースとしているマーズの音楽。ジェームス・ブラウンやポリスなど、過去の偉大なアーティストからの影響も色濃い。2021年にアンダーソン・パークと結成したサイドプロジェクト、シルク・ソニックでは、60〜70年代のノスタルジックで艶かしいR&Bを深掘りし、グラミー賞4冠を達成した。もっともソロキャリアを含めると、マーズはなんとグラミー賞15冠という記録の持ち主。2023年のグラミー賞では「もういっぱい受賞したから、ほかの人に譲りたい」とノミネートそのものを辞退。圧倒的な自身の成功の秘訣を、「自分に正直であること。そして曲を作るときは、これが自分の最高傑作だと確信をもてることが大切です」と明かす。
「24K Magic」、フィーチャリングされたマーク・ロンソンとの「Uptown Funk」などアッパーでファンキーなパーティーチューンで知られる彼だが、同時にスウィートなラブソングの魅力も外せない。その名もズバリ「Marry You」をはじめ、「Just The Way You Are」、「Count On Me」、「Treasure」などウェディングで流したいラブソングが多数。彼の曲だけで結婚式ソングのプレイリストが作れそうなほど。愛の告白やバレンタインデーにも、使えのでは?
ラム酒のブランドセルバレイ(SelvaRey)も展開
音楽と並んで彼が本気で取り組んでいるのがアルコールビジネスだ。セルバレイ(SelvaRey)と名付けられたラム酒のブランドを展開。ハワイ育ちだけあって、ラム酒をベースにしたモヒートやピニャコラーダ、マイタイ、ラムパンチなどウィートなトロピカルカクテルが大好物。みんなで一緒に楽しもうという、彼のライフスタイルとも正しく一致する。
毎回来日すると回転寿司からラーメン店に、相撲観戦まで、あちこちに出没して、ファンと気さくに交流するマーズ。前回の来日時には、突然クラブでアフターパーティを開催して驚かせてくれたが、さて今回は?
Text: Hisashi Murakami
